レオ=レオニの作品は、シンプルでストレートなメッセージが、好ましく素晴らしいと思います。
水の中で暮らすサカナは、友達のおたまじゃくしがカエルになり、地上に出ていったのを機に、水の外の世界が気になり始めます。
久しぶりに池に帰ってきた友達のカエルが、見聞してきた世の中のことを語ってくれ、ますます広い外の世界に憧れます。
ある日、思い切って、力を振り絞り、岸へ跳ね上がったサカナ・・・
ところが!息をすることもできず、動くこともできず、喘ぎ苦しみます。
弱っていくサカナを、友達のカエルが池へ戻してくれ、一命を取り留めました。
再び水に戻れた時の描写、水の温度やサカナの呼吸、鼓動まで感じられるようなリアルさです。
このせかいこそ、たしかにどんなせかいよりもうつくしいせかいだった。
「さかなは さかなさ。」
水の中で命を吹き返したサカナのこの思いは、心の底から「今の自分」を肯定し愛しむものです。
現実をありのままに受け入れ、今ここに在る自分を肯定すること。
自分が身を置く世界は、本当に素晴らしいと気づくはず。
8才の息子は、サカナが水から出て苦しむページで、息をのんで事態を見守っていました。
5才の娘は、サカナが世の中の生き物をあれこれ想像する絵がおもしろく、楽しんでいました。