病気の母が食べたいと言ったやまなしを三兄弟がそれぞれ順番に取りに行く昔話です。色々なバージョンがあるみたいで、しかも昔話でつじつまがあうとかあわないとか、そういうレベルで話をするのもどうかとは思いますが、とても「つじつまがあって、しっくりくる」バージョンだから好きです。
なかでも、どのバージョンにも三兄弟にアドバイスをしてくれるおばあさんが登場してくるのですが、そのおばあさんの存在価値が一番ちゃんとあらわれているのがこの話でした。特に、私は帰りに三兄弟が感謝の念を表す為に、おばあさんが座っていた場所にやまなしを置いて帰るところが好きです。
それから、三つ又になっているところで笹の声をきく、この話の中で一番の重要なページで、ちゃんと3つの道のそれぞれの所に笹が描かれている点が、見ている子ども達にもとても分かり易いのがとてもポイントが高かったです。読み聞かせをしている時に、そこまで読んだら、「ってことは、どの道に進むのかしら?」と聞いて、指さしてもらう参加型の読み聞かせが出来る絵本でした。
ちょっと言い回しが難しい方言のところが数カ所ありますが、全体的には絵に関しても、おばあさんの不気味さとかがなかなか味があり、逆に沼の主の方が案外可愛かったりとユーモアもあり、よい出来上がりの絵本だなと思いました。この話の読み聞かせには、この本をお勧めします。