あべ弘士さんの『夏』という絵本。
2023年7月に出た新しい一冊です。
あべさんは北海道旭川市に生れた、いわゆる道産子のひとり。
この絵本は少年時代のあべさんが見た「夏」が描かれています。
セミが鳴き、チョウが飛ぶ。
機関車が行ったり来たりしている。
畑の中の一本道を自転車で行く少年は、あべさん自身だろうか。
虫に夢中の少年の夏休みももうすぐおわる。
彼にはこの夏にどうしても見ておきたいチョウがいる。
オオヒカゲチョウ。
どんなチョウなのか、
読者はあべさんが描く姿で知ることになる。
少年が見たのは、羽一面の地図。
少年が住む町。あるいはやがて、少年がでていくだろう広い世界。
一瞬垣間見える、少年が見た夏の日の夢。
なんと多くの色に満ち溢れた世界だろう。
誰もが経験する「夏」。
あべさんはそんな経験を一冊の絵本に仕上げてくれました。