日本語名はセイヨウトチノキ。
マロニエの木の一年間を、枝の先についた芽、広がる葉、花や実のなる様子で紹介する学習絵本。
1993年刊行。(原書:1987年)
とちの木は小学校の裏手に植わっているのを見た。結構大きな実が成るのに、栗のようには食べないと言われて、なんだかガッカリした記憶がある。
マロニエは、フランスあたりで見かけた。やはり、栗くらいの大きな立派な実がなるのに、誰も拾って食べたりしないらしく、道端にゴロゴロと転がっていた。
栗のように実を食べるものでないと、あまり積極的に樹木に感心を持たないで過ごしてきたが、別に食べなくても、ただ見ているだけでも十分に素敵だと最近わかってきた。
本書は、小さな芽が春になると、その中にしまっていた葉っぱを出して、大きく葉が広がる様子など、素人にはなかなか見られない樹木の姿を、大きな写真で見せてくれる。
あんなに小さくまとめて「芽」に入れて、春が来たらさっさと大きく広げて、太陽の光などを利用して養分を作る。
折り畳み傘を広げたり、しまったりするようなことを、実に上手にやってのけるところがエライ。
前衛的な形の実も面白い。とげとげの殻に包まれているのだが、あの棘が何のためについているのかわからない。
パンクな印象。植物の実は、良く見るとかなりやんちゃなデザインのものがあったりして楽しい。
面白がって、「マロニエ 食べる」でネット検索もしてみたが、やはり食べないのだそうだ。フランスでは「マロン」という単語はあるが、それはマロニエの実のこと。これは食べない。
食べるほうは、「シャテニエ」と言って、日本の栗のように、食用になる。日本では食べない「マロン」を食用の栗の実のお菓子に使っているから、ややこしい。
写真絵本一冊から、いろんな調べものをしたり、思い出を味わったりして、楽しかった。