「おおきなムクムク」 みんなの声

毛むくじゃらの大きな犬ムクムクは、マルタ・アルテスさんが実家で飼っている犬がモデルだと思います。
犬好きのひと向けの絵本のようです。
でも、自分の居場所探しの絵本のように思えました。
多様化された町の中では、いくら大きくてもわかり合える人は、どこにでもいるわけではないのです。
いろんな楽しいことがあっても、孤独感や虚無感と隣り合わせかも知れません。
そう思うと、最高の出合いにホッとしました。

長いたびのあとにたどりついたところで、いばしょを探す大きな犬のムクムク。どうなるのかと読み進めていけば……良かった！　新しい家族と幸せになるムクムクに、ほんわかあたたかな気持ちになりました。そして、なんといっても絵が素敵。特に表情ゆたかなムクムクが、いきいきと描かれていてひきこまれました。

さみしい顔。うれしい顔。ムクムクの豊かな表情が愛らしくてほんわかしてきます。
大きな町の人って本当にまわりが見えてないのかな。確かにそう感じること、自分にもありますが。
でも偶然の出会いはだれにでも必ずあると信じさせてくれる、そんな優しい絵本です。