「クマのひとりのじかん」 みんなの声

ピアノがとても上手だから、演奏を皆から求められてばかりいるクマ。
あまりにも求められるから、思い余って吠えてしまったクマ。

怒って離れていった皆は、あまりにも身勝手ですね。
そんな中、シマウマの思いやりがキラリと光っています。

一人になりたかったクマは、シマウマに癒されて、
「ひとりとひとりで、いっしょにいよう」
と、素敵な選択をしました。

人気者のクマさんだからの悩みでしょうか。
ピアノがそれほど上手だからでしょうか。
森のみんなからせがまれて、休むことができません。
こんなことはあり得ないかも知れないけれど、これに似た夢にうなされたことがあります。
これを強迫観念と言うのでしょう。
たまに息抜きのできる一人の時間も必要です。
でも、この絵本はさらに上を行きました。
何も語らなくてもわかり合える、気心のしれた友だちと静かに過ごす方が、癒しの時間かも知れませんね。
とてもおしゃれな絵で、大人テイストな絵本です。

ピアノが上手なクマ。ひとりになりたいのに、みんなにピアノをせがまれて……。読みながら、なんとなく共感してしまうようなところもあるお話でした。ラストの言葉になるほど。印象的なラストです。そして、モノクロに赤い色だけが色付けされた絵も独創的な雰囲気で素敵でした。