私のおじいちゃんにあたる人は私の生まれる前に亡くなった。
母方のおじいちゃんは記憶にあるが、縁が深かったとはいえない。
だから、この絵本のようにおじいちゃんの背中におぶさったことも遊んでもらった記憶もあまりない。
もっともこの絵本では女の子が主人公だからおじいちゃんであって、男の子の場合はおばあちゃんなのかもしれない。
私の孫にあたる人はまだいない。
孫ができるためには彼氏とか結婚とかいったステップが必要だが、その気配もない。
自分の同年代の人たちがおじいちゃんになったとかおばあちゃんになったと聞くたびにうらやましいと思う。
同時に、私なら孫を溺愛するのではないかと怖れもある。
いや、その前のステップはやってくるのだろうか。
この絵本のように「おじいちゃんはわたしのチャンピオン」と言われたいものだ。
「おじいちゃんはえがおのチャンピオン」と称賛されたいものだ。
そして、ひざの上において「ないしょばなし」をしたいものだ。
と書いてきて、ふと気づいた。
この絵本は子ども向けではないのではないか。
私のようなおじいちゃん予備軍、あるいはおじいちゃんおばあちゃん正規軍向きの絵本ではないだろうか。
この絵本を読みながら、離れて暮らしているお孫さんたちに思いを寄せる、おじいちゃんおばあちゃん向けの絵本ではないか。
つまり、孫って、おじいちゃんおばあちゃんの小さなチャンピオンなのにちがいない。