ずっと気になっていた作品で、タイムリーに読むことができて、幸せです。
そう、和菓子のおはぎが主人公です。
秋の初め、縁側でおはぎをいただいていた老夫婦、ひょんなことでおはぎを落としてしまったのです。
庭の草陰に入り込んでしまい、「おはぎちゃんやーい」と探したものの、
見つからずに諦めたようですが、
もちろん、庭では生き物たちが異変に大騒ぎ。
この「おはぎちゃん」はいったい何者?
なんと、かわいい赤ちゃんだったというわけで、生き物たちの子育てが始まります。
カナヘビ、カエル、ミミズなど、普通ならちょっと近寄りがたい生き物たちも、
ほら、こんな造形ならみんなお近づきになれそうです。
やがて季節が移り変わり、冬眠を前に、世話ができなくなるという問題が。
しかも、当のおはぎちゃんが行方不明というハプニングまで。
ドキドキハラハラの展開はやがて、意外な結末に。
なるほど、見事なオチです。
しかも、新たな暗示までついていますね。
昭和な家屋に和菓子、と、舞台は完璧です。
丁寧に描かれた庭の様子は、季節感たっぷり。
生き物たちも生き生きいしていて、やさしさと温かさいっぱいでうれしくなりました。
そのほかにも見どころいっぱい。
たっぷり味わってほしいですね。