『種をまく人』のP・フライシュマンさんの作品です。
サンタモニカ育ちの方の作品という、空気を感じます。
両親も心配しているちょっと独特のパーソナリティの持ち主ウエズレーは、夏休みの自由研究に、“自分だけの文明”をつくる事を決意。
耕し、種が飛んできて、芽が出て、花が咲き、誰も見たことのない新しい作物が…。
作物から様々な衣食住が生み出され、子供騙しのない徹底した終結に、この文明世界へ引き込まれた我が息子は、読後ウエズレーを大絶讃。連日、一人で読み直しています。
私が感心したのは、ウエズレーの両親。息子が招待するまで、このウエズランディア(ウエズレーの国)に、足を一歩も踏み入れず、覗かず、止めず、ウエズレーを信じ待っていたことです。
とかく、奇異(ウエズレーを理解しようとしない人々にはそう映っていたであろう)な世界へのめり込もうとする我が子を見たら、世間の目もあること故、親は無理矢理、軌道修正をしようとしがちです。
しかし、この両親は息子を歪めることなく、力を使うでもなく、信じ、見守り、待ちます。この姿勢が素晴らしいと思いました。
結果、ウエズレーの内面に、静かに確実に降り積もっていたエネルギーが、見事開花したのだと思います。
中高学年のお子さんとこの夏読んでみてはいかがでしょうか。
親子共々満足できる一冊だと思います。