異常にキレイ好きなおばさんは、同居している少年が家の中で遊ぶのを禁止している。退屈な少年は、ひいひいおじいさんの戸棚から魔法の薬を発見し、テーブルの上の食器類にたらしてみた。すると食器類に命が宿り、自由に動き出す。おばさんは家が汚れる、物に傷が付く、散らかる!とかんかんに怒って、魔法の薬を全部トイレに流して捨ててしまった。その夜、魔法の薬が効いてきた便器は、動き出し、少年と一緒に冒険を始める…
全く先が読めない、メチャクチャな話でめっぽう面白い。
潔癖症で完璧主義者の独善的なおばさんの目が釣りあがっていたり、破壊行為で大喜びする少年が生き生きしていたり、心理描写が的確で素晴らしい。極端なことをしていると、その反動も大きい。押さえつけられて圧縮されたまま放置された少年の冒険心が、トイレの暴走という形で全部爆発したようで、爽快だ。いささかやりすぎだが、最後は幸せになったからよしとしよう。
遊びたい心を抑圧すると、わけのわからない事態を招くからご用心。
それにしても、変なものばかり発明していたひいひいじいちゃんや、すごくエッチな歌の日本語版や、トイレの襲撃に驚く通行人やら、いろんな場所に突っ込みどころ、見所、笑いどころが満載で実に楽しい絵本だった。大人の憂さ晴らしにもおススメ。