宮西さんの他の作品にも 似たようなテーマの物が多く見られますが、私はこの作品が一番ジーンときました。
アンキロサウルスの赤ちゃんに、父親と間違われたティラノサウルス。
食べようと思っていたのに懐かれて、挙句の果てには「おとうさんみたいになりたい」とまで言われてしまいます。
本当のことも言い出せず、次第にお父さんらしくなっていくティラノサウルスでしたが・・・。
生まれてきて一番幸せな時というのは、誰かに愛された時ではなく、誰かを愛せた時。
自分のことよりも、相手の幸せを願えた時こそが、人生で一番幸せな瞬間ではないでしょうか。
生まれたての赤ちゃんの美味しいお肉を食べる事よりも、その赤ちゃんがすくすくと成長し育っていくことを願った時、ティラノサウルスの「おとうさん」は、かつてなく幸せな気持ちになれたことでしょう。
物語の切なさ、ティラノサウルスのお父さんの『漢らしさ』を味わうには、子供では難しいかもしれませんが、それでも何かしらは感じてくれると思う作品です。