絵本は主に子供のためのものなのでしょうが、中には、この内容は大人でなくては本当にはわからないよなあ・・・と思うものがたくさんあります。この絵本もそんな本だと思います。
大きなテーブルに集ってにぎやかに暮らしていた一家でしたが、子供の成長につれて、一人去りまた一人去りと、とうとうおばあさん一人が残されてしまいます。
まるで、わが実家のようです。こう思って読んでいる親は大勢いるのではないでしょうか?今の私の家族も、子供達が巣立ってしまうと、このようになっていくのでしょう。このもの寂しさは、幼児や小学生にはなかなかわからないと思います。
でも、わからないなりに、折りをみて繰り返し読んでいれば、じんわりと心に沁み入るようになり、成長とともにお話に対する感想も違ってくるのではないでしょうか?子供の成長にバロメーターになるような本です。
広瀬弦さんの絵ですが、どのメージをめくっても、ダイニングキッチンに大きなテーブルがおかれた、同じアングルの絵です。そして、その時、その一家で何人暮らしているかで、サイドボードの食器の数が変わっていて、片隅の棚においてあるものが、本だったりおもちゃだったりと、細かく描かれていました。
本当に、大人の心にシーンとした攻撃をかけて来る本でした。里の両親に電話して、声を聞きたくなります。