私が幼い頃に読んだ絵本で唯一ハッキリと覚えているのは「ぐりとぐら」です。通っていた保育園に置いてあったのですが、繰り返し繰り返し、何度も読みました。
ちょっと複雑な家庭の事情があり、さみしい思い出があるのですが、泣き顔をみんなに見られるのがいやで、一人で保育園の本棚の中に隠れるようにまるまって座り込み、「ぐりとぐら」を読んだのを覚えています。ぐりとぐらが見つけた大きな卵が、ほかほか美味しそうなカステラに変身していく様は、何度めくっても心がわくわくし、さみしい気持ちを癒してくれました。小学生になっても、中学生になっても、高校生になっても、大人になっても、「ぐりとぐら」の文字と絵の画像はずっと私の心に残っていたのです。
結婚し、子供が出来て、読み聞かせのために真っ先に買ったのは、もちろん「ぐりとぐら」。リズム感のよい文章、おだやかで、やさしくて、わくわくするお話を、ぜひ私の子供にも伝えたかったのです。何度も何度も、くりかえし大切に読んでいます。今では、2人の子供たちも大のお気に入りの絵本となりました。一生大切にしたい絵本No.1は迷うことなく「ぐりとぐら」です。
親子2代で素敵な思い出を、ありがとうございます。
きっと、この先も永く読み継がれて行く名作だと思います。