ジイちゃんと呼び、本当のおじいちゃんの様に慕っていたお隣のおじさんが亡くなった日から
葬儀が終わるまでの数日間のお話です。
自宅で息をひきとり、お通夜から葬儀までを隣組というか、ご近所さんで執り行う様子から、
私が幼い頃に唯一自宅で出した祖母の葬儀を思い出しました。
時代背景は「今」なんだと思いますが、懐かしい匂いがします。
身近な死と直面した主人公の武が、死と向き合い、受けいれていく過程が、
とても魅力的なエピソードと共に描かれていて、子どもが読者でも生きることや死ぬことについて
温かい気持ちで考えることが出来るんじゃないかなと思いました。
また読み終わった時には、亡くなったジイちゃんは、
武の心の中や見上げる星空の中に居ると思えてきたりもしました。
命のバトンを繋ぐということは、血の繋がりだけじゃないのかもしれないと考えさせられたりも。
風景や武の心の描写がとても丁寧で、読み始めてすぐにお話の世界に引き込まれます。
私がとりわけ心を惹きつけられたのは、武とお姉ちゃんの2人が星空を見上げる場面です。
今はほんと少なくなってしまった暗い闇をバックにキラキラ瞬くたくさんの星を想像し、
自分もそこに居るかのような気持ちになりました。
読書が苦手という子どもさんには、
本を読むことの楽しさを感じさせてくれる1冊になるかもしれないと思える本でした。