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ヤマトシジミの食卓」 みんなの声

ヤマトシジミの食卓 絵:大野八生
著者:吉田道子
出版社:くもん出版
税込価格:\1,320
発行日:2010年06月
ISBN:9784774317489
評価スコア 4.63
評価ランキング 3,635
みんなの声 総数 7
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  • しみじみとした切なさ

    息子が学校で借りて来ました。

    不思議なタイトルとほのぼのとしたイラストに惹かれて読んでみると、情感のあるお話でした。

    かんこは、風助さんという不思議なおじいさんを拾ってきます。おじいさんが空き地の平たい石の上に座っていて足をくじいていたからです。

    その日からその不思議なおじいさんは、かんこの家に居ついてしまうのです。

    かんこの家では岩手に住む一人暮らしの祖父が亡くなったこともあり、その不思議な老人が祖父に重なったのかもしれませんね。

    実家で同居ということが難しい時代、晩年はどうしても一人で暮らすということになってしまいます。

    実際、私の母もそうでした。そんなことを重ねて読むと、尚更この老人のことがほおっておけなくなる家族の気持ちがわかる気がします。

    この老人がどんな人であったのかは後半わかりますが、かんこの家で楽しく過ごせた時間があってよかったなあと思えました。

    ほのぼのとした話の中に、しみじみとした切なさも同時に感じました。

    投稿日:2011/06/01

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    2
  • 何度か読むことでよさがわかります

    小学3年生の娘が夏休みの読書感想文で今年の課題図書として選ばれていたこちらの本を自分で選びました。

    題名からして、なんだか食育の話なのか?おじいちゃんとのハートフルな話なのか・・解釈しにくく、ぱらぱらとめくった感想では別の本のほうが書きやすいんじゃない?なんて思ったのですが、娘はこれがいい!
    というので購入し、そして私も一緒に読むことにしました。

    一度読んでも、少し不思議だな?という独特のストーリーでいまいち
    かんこちゃんとふうすけさんのやりとりが理解できませんでした。
    このご時世おじいちゃんを拾ってくるという話自体、思いつきませんしそんな奇想天外なストーリーを書かれた作者の意図もわかりませんでした。

    けれど二度、三度読むと、不思議です。なんだかかんこちゃんとふうすけさんにも親近感が増し、不思議なヤマトシジミの食卓に自分も座って物思いにふけってみたいような気持ちさえします。

    読み返すほど感動があふれてきて・・
    ふうすけさんが残した手紙や、そこで最後にやりとりしている、かんこちゃんとかおちゃんとの会話(チョウでいっぱいにしようという場面)も素敵な情景として浮かんできました。

    読書感想文この本を選んでよかったと娘も話していました。

    投稿日:2011/07/30

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    1
  • しみじみと心にしみるチョウの舞

    ヤマトシジミの食卓だと、石を懐かしむ老人。
    その老人を「拾って」帰ったかんこちゃん。
    話は突飛な形で始まります。

    風助と名乗った老人は、かんこちゃんの家で「飼われる」ことになりますが、その風助さが姿を消して月日が経った後に届いたおじいちゃんの死亡を告げる通知。
    謎解きのようですが、読んでいて自分もしみじみとしてしまいました。

    かんこちゃんのお父さんは、一人暮らしでいた自分を父親が死んでしまって、その面影を風に描きます。
    (母が亡くなったときに、一緒で暮らしていければよかったという負い目もあります)
    その風助さんが、ヤマトシジミの食卓だと説明した足踏み石と何十年前の思い出のはなしは、かんこちゃんの心で神秘的に拡がっていきました。
    友達づくりが苦手なかんこちゃんにとって心許せた友達が海外に引っ越していきました。心の寂しさの中で、いろんなものが成長していきます。
    かんこちゃんの一家、知り合ったかおちゃんとのメルヘンだと感じました。
    風助さんは、足踏み石のあった家で、かつて一人暮らしをしていた人でした。
    離婚して一人になって、その家を出て社会的に成功して、身内のないままに老人ホームに入ったとき、自分のとても大事なよろどころとして思い出した場所でした。
    ヤマトシジミというシジミ貝に似たチョウの群生する庭。
    風助さんが言う神話のせかいと現代を結ぶ幻想的な舞台が、とても素晴らしく心に響きました。
    不思議な作品です。

    投稿日:2011/06/30

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    1
  • 拾って帰ったじっちゃん

    • レイラさん
    • 40代
    • ママ
    • 兵庫県
    • 男の子17歳、男の子15歳

    2011年度読書感想文全国コンクール小学校中学年の部課題図書。
    「シジミ」「食卓」という言葉から、食育のようなストーリーかと思いましたが、
    ちょっと不思議な、高齢化社会も感じさせる物語でした。
    小3のかんこは、兄が拾ってきた犬を触らせてもらえなくて、
    不機嫌なのです。
    そんな時出会ったのが素性の知れぬじっちゃん、風助さん。
    かんこは、こともあろうに、風助さんを拾って帰ることにするのです!?
    出会いの場所が、表題の「ヤマトシジミの食卓」。
    ヤマトシジミという小さなチョウがたくさん集まってくる、空き地の平べったい石のことなのです。
    老人の風助さんから、様々な感化を受けるかんこ。
    だんだんと風助さんの素性が明らかになります。
    風助さんの死という知らせ、という衝撃的な冒頭から、引き込まれます。
    いうなれば、ホームレス老人を受け入れてしまったかんこの家族。
    風助さんの独特の存在感が、ページを引っ張っていってくれます。
    かんこの、この年代らしい友情エピソードもキュートです。
    老人問題にもそっと触れてあるのですが、重々しくなく、
    チョウの生態のことも興味が持てそうです。

    投稿日:2011/06/07

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    1
  • 家族

    • みちんさんさん
    • 30代
    • ママ
    • 愛知県
    • 女の子3歳、女の子1歳

    表紙が本当のおじいさんと孫のように思っていたのですが、読んでみると血縁関係は全くないのですね。しかも、女の子のかんこが拾ったおじいさんだというので驚きました。かんこの家族もよく名前しか知らないおじいさんを家に置いてくれたな…と思ってしまいました。でも、血のつながりこそなくても、たしかにこの風助さん(←おじいさんの名前)はかんこの一家の一員 家族だなと思えるいいお話でした。
    風助さんの身元がわかるくだり、風助さんの手紙にじーんときました。

    投稿日:2015/05/21

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    0
  • ほんわか。

     2011年度の課題図書。

     本屋さんに行って、課題図書のコーナーを見ていて、この本の題名にひかれ手にとっていました。

     家に帰ってゆっくりこの本を読みたいという思いにかられ、この本を購入。家に帰ってすぐに読みました。

     ちょっと不思議なおはなしの中に、人と人とのあったかい交流を感じることができ、心があったかくなりました。

     この本を子ども達だけの本にしておくのはなんだかもったいないな!と感じました。子ども達だけでなく、大人の方にもお薦めしたい素敵なお話です。

     もちろん、この本、息子と娘がもう少し大きくなったらまた一緒に読んでみたいな!と思っています。

    投稿日:2011/09/25

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  • 私からのおすすめは30〜50歳の大人

    • てんぐざるさん
    • 40代
    • ママ
    • 埼玉県
    • 女の子16歳、女の子11歳

    まず、この本は最後のイラストのページを抜くと123ページしかありません。しかも、各所にイラストが散りばめられているし、
    1ページは12行しかないし、
    文字数はページから想像するよりかなり少ないです。
    ですから、行と行のスペースがいい感じに空いていて、本が苦手なお子さんでも、気楽に手がのばせる作品では?と、思いました。
    その上、どういう構造になっているかはわかりませんが、同じような大きさの単行本に比べて、とても本が軽く作られています。

    このお話は、主人公のかんこの、小学校3年生から4年生の夏くらいまでの物語となっています。
    表紙絵にもう一人描かれているのは「風助さん」というお老人で、ある日川原の平べったい大きな石に座っているところをかんこが見つけて“拾ってきた”おじいちゃんです。
    素性がはっきりしない「風助さん」と、かんこのうちの人たちはなんだうまが合い、今どき珍しく家族のように何日か暮らします。

    その過程が無理がなく、読み手が納得できちゃう流れで、作者の手腕のすごさを見せらつけられました。読みやすい無理がない設定で、要所要所軽いジョブのように『笑い』があって、楽しませてくれます。

    タイトルの『シジミの食卓』というのも、物語にとても大切な場所で、
    自然や虫に興味のあるお子さんにもお勧めできる内容になっています。
    主人公のかんこは女の子ですが、
    かんこにはお兄ちゃんがいて、彼がすごく素敵なパイプ役として物語の進行を支えてくれている気がしました。
    ですので、男の子が読んでも違和感なく、楽しく読めると思います。

    個人的には、子育て世代の30代〜50代の親たちにお勧めしたいです。
    児童文学作品で、あくまでも子ども目線で描かれていますが、
    ぜひ、読んでみてください。

    「風助さん」という架空の親を持ったことで、
    かんこのお父さんは少し前に亡くなった自分の父親との空白を埋めていきます。
    中年期に差し掛かると、どうしても自分の親の看護(介護)をしたり、見送らなければならなくなったりします。そんなときの息子(子ども)としての葛藤が物語の中に見え隠れ、
    かんこのお父さんと「風助さん」のやり取りを読みながら、
    読み手の私も一緒になって、いろいろな想いが寄せては消えていきました。
    素敵な作品に出会えて幸せです。

    投稿日:2011/09/02

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