男の子が眠りにつく前、前夜訪ねてきたというくまのぬいぐるみ「よるくま」のことをお母さんにお話するというストーリー。お話は、すべて母子の対話形式で進められます。
う〜ん、わたしも黒い涙が気になりました。この時点ですでに読者はよるくまに共感し、胸を痛めて心配でいっぱいなのだから、あの涙の見開き2ページはなくてもいいかも。かえって大人(作者)の心象絵本というような気がしました。自分の子供の頃を振り返ってみて、確かに母親の姿の見えないことに急に不安感を抱いた経験があります。絵本全体が黒枠を取っているし、あそこまでしなくてもいいかなというのが正直な感想でした。あと、息子も指摘していましたが、よるくまのお母さんがテーブルの下に隠れているかもしれない、というところ。しかもそれを男の子の母親が言っていることに違和感を覚えました。かくれんぼでしょうか? 夜に? くまさんは夜、遊ぶのかな? よるくまちゃんはこんなに悲しい思いをしているのに、隠れている親なんているのかな? 自分の経験からお昼寝で起きてきたときには、ちょっと遊んであげたかもしれないけれど。設定が「よるくま」だから夜、活動するのかもしれませんが、普通に考えたら、夜、隠れたりするものだろうか……と不自然さを否めませんでした。ただでさえ、夜って子供にとっては怖い存在なのに。くまのお母さんが流れ星で魚釣りをしている場面から、ファンタジーという設定もわからなくはないのですが、「夜」という対象を小さな子供向けにお話するのには無理があるかもと感じてしまいました。
……というわけで、わたしもちょっと辛口になりました。