『3びきのくま』とは、5・6歳の頃から芽生え始める自我の確認をテーマにしたお話です。それは、くまの描かれ方が、大(お父さんくま)・中(お母さんくま)・小(子くま)と大きさを分けて描かれていること、それぞれの父と母と子の持ち物が専用のものとして使われていることからも、うかがえます。
そして、自我が芽生え始めたときに同時に出てくる物事に対する疑いの部分を、キャンディという少女が登場することでうまく表されています。
絵本の中では、子くまは素直に、キャンディはいかにもずる賢そうに描かれており、キャンディがくま一家の中のものをどれが自分にあてはまるか試しながら確認していくことが、まさにキャンディが子くまのかわりに家の中での自分の存在を確認している行為に当たります。キャンディが今後現れないことが、子くまが自分の存在確認が終わったこと、即ち子供たちに芽生えた自我の確認が済んだことを意味します。
息子が5・6歳になったらぜひ読んでやりたい一冊です。