2つのストーリーが真ん中でひとつにつながる物語。
それぞれの物語はとてもシンプルで、テディベアを公園でなくしてしまった女の子、テディベアを公園で見つけた男の子の、心の動きを描き出しています。
毎日 うさぎのぬいぐるみを妹のようにかわいがって一緒に寝ている娘は、女の子の気持ちにはすーっと感情移入したようでした。しかし、悲しそうな顔をしたテディベアを力づけよう励まそうと、いろんなことを試みても、自分ではダメなんだね・・・と悲しい思いをする男の子のほうの気持ちは、小さい子供にはちょっと重い心情かもしれないと感じました。
どちらから先に読むか…。私は男の子のほうから読むほうが好きだな。
悲しい顔をした男の子に女の子がかけたことば「どうしたの、なにがかなしいの」と、男の子がテディベアに最初にかけたことばがリンクしているところに、ハッとします。
そして、2つのストーリーがひとつになる結末の、三日月のシーソーのページはとても印象的で、美しいです。
私たち自身のなにげない日常も、あるひどこかで、思いがけず、誰かとつながるのかもしれない…そんな予感をも漂わせる作品です。