私が初めてこの本に出会ったのは小学校の4年生の時でした。文章は簡単なのですが内容がよく理解できませんでした。でも、絵に描かれた大蛇とバオバブがとても印象に残りました。
子供はまだこの本に興味はないようですが、冒頭の「大蛇」にはものすごく食いついてきます。「うわばみ」「ボア」「大蛇」など訳者によって違う言葉で訳されています。子どもは「これはアナコンダなんじゃない」と言っています。アナコンダがワニや牛を丸のみにした写真をみたことがありますが、ゾウまで丸のみにするのかと驚いてしまいます。テグジュペリは本当に見たことがあるのでしょうね。また、はじめてバオバブのことを知りとても興味がわきました。この木は見た目が変わっていますが、年輪がないなど、普通の木とはずいぶんちがうようです。
この物語の中で、一番気になるところはきつねが王子さまに「自分を飼いならしてくれ」という場面です。友達になることを、飼いならすというのが、どうしてもわからないのです。
今回、この部分のいろいろな訳を見比べて見ました。なじみになる、絆をつくるなどでした。倉橋さんは「仲良しになる」としていますが、これは曖昧に訳した、と本人がおっしゃっています。私がこの部分が理解できるようになればいいなと思います。
「大人というのは全く不思議だ」と王子様がいいます。戦時下の世の中の矛盾を言っているのでしょうか。わがままなバラはテグジュペリの妻のことを言っているともいいます。この本の解説書を読んだあとでは、つい深読みしてしまいます。子どもがもう少し大きくなって、先入観なしにこの本を読んだときの感想を聞きたいなと思っています