【あらすじ】
へちまのへーたーろーは、ある日、少女に「きゅうり」と言われる。へちまであることを必死でアピールするために、太ってみたり、つるつるになってみたり、日本語を覚えたりするが、少女にもそのお母さんにも伝わらない。ガッカリするへーたろー。間違いの原因となっているきゅうりを探しに出かけてみたら…
【感想】
二つの世界は、全く交わることがないシュールなお話。
へーたろーは情熱を燃やして、猛然と問題を解決するための努力をするが、全く報われない。だんだん切なくなっていき、生意気な態度のへーたろーに同情してしまいましいた。
少女とその母親も、変わった感性の親子だと思いました。
親が、本当にへちまを知らないのか、敢て子どもの世界に合わせているのか、わからないが、なんとなくこの親子も性格に問題がありそうな、近所で浮いていそうな気がする。クールな印象を与える絵が、そのような感じを抱かせます。
どっちもどっちだなあ。
どっちも、あまり歩み寄りがなく、許容範囲が狭く、自分が信じた世界をひたすら貫くだけで、「他の価値観」があることはあまり関係なく生きている気がしました。
生きる世界が全く違うと、こんな喜劇のような悲劇が起きるのかしら。
おもしろいけど、ちょっと考えさせられる内容で、読み応えがあります。
絵本というと、明るく楽しく、ハッピーエンドという先入観がありましたが、こんな「人生はなかなか思うとおりにいかないのよ」と諭してくれる作品もあるなんて。
絵本の表現の、奥深さを知りました。いろんなことを考えました。
努力して思った通りの結果が出なくても、別の活かし方があるから、大丈夫だと、自分に言い聞かせました。