レビューコンテストを機にレオ・レオニに作品を結構読みました。そして、なかでも、
この絵本の翻訳版『チコときんいろのつばさ』(あすなら書房)を読んだ時、最後の
チコ(TICO)の独白が全然意味が分らなくて、消化不良を数日おこしてしまい、
思い切って、ではオリジナルはどうなの?と思って、読んでみました。
単語と文法は中学の英語レベルで、関係代名詞程度が2・3回でてくる程度だったので、
とてもおすすめです。
逆に、こちのら英語バージョンでは、レオ・レオニが言いたいこと(話のキーワード)
が斜体になっているので、なんて分りやすいのだろう!と感動したほどです。
斜体になっているのは2箇所で、その言葉は ”different”と”all” でした。
そして、初めてチコが金色の羽根をカゴ作り職人にあげる結構重要な場面では、かなり
そのカゴ職人に関する説明が省かれてしまっていることを知り、残念に思いました。
また、チコが初めて空を飛んだ時に上空から見た風景の描写も、オリジナルはとても
素敵な表現をしていて、それを忠実に訳されていないのも、なんだかなと思いました。
でも却って、英語版を読むことで、それらを知ることが出来、レオ・レオニらしさを
体感出来てよかったかもしれません。
逆に紙の質が悪いので、あすなろ書房さんの日本語バージョンの方が断然絵が映えて
見え、絵を重視するなら日本語版をお薦めします。私の好きな“願いをかなえてくれ
る鳥”が出てくるページを見れば一目瞭然です。あの真珠のような色の輝きは、日本語
バージョンじゃないと分りません。
結局、最後の独白で、私が解釈したのは、
たとえ見かけが同じであろうと、本来、自分と言うものは中味がみなと全く違うもの
であり、それは全ての人に言えることである。と言うのも、自分の中にある思い出
(his own memories:つまり経験してきた「過去」と私は解釈しました)と輝く希望
や夢(his own invisible golden dreams:目に見ることはできない輝かしい「未来」
と解釈しました)は、人それぞれ違うから。
こんな風に感じたので、レオ・レオニのメッセージが分った気がして、やっと、この話が
心の中にストンとおさまりました。よかった、よかった。
是非、他の方も日本語版でモヤモヤするようでしたらトライしてみて下さい。
お薦めです。