だれにもしゃべっちゃいけないよ、と念押しされて聞く、雪女の物語。
場面は月明かりに照らされた雪景色の山。
北風が雪を舞い上げ、雪女がぼんやりと、そしてゆっくりと姿を現すのです。
丁寧に描写された雪女の造形が、巧みな語り口で体感できます。
でも、この雪女は、人間に寄り添うだけの存在で、気配を残すだけです。
そして、梅の花の開花とともに、また姿を消すのです。
口外禁止の約束が効いています。
良質な語りを聞くようでした。
飯野さんの絵も雰囲気たっぷりでもちろんいいですが、
ストーリーテリングで聞いてみたいなあ、と思いました。
絵本の読み聞かせでしたら、冬の終わり、春の便りが出始めた頃がいいですね。