めりーちゃんが、お母さんと一緒に買いものに出かける話。
何を買って、何をするかは、最後のお楽しみ。
2014年刊行。前作は1972年「あおいめ くろいめ ちゃいろのめ」。42年ぶりに続編を作った筆者は、後書きに、前作の時の状況と今回の違いを述べている。42年もたって、いろんな持病ができたり、「特に視野欠損」との闘いもあり、時間も手間もかかったのに、納得できる出来栄えにはならなかった…という。作者の努力もすごいが、長年たってから「続編が書ける」という珍しい機会を得たことなども素晴らしい。
いろんな人の思いや働きがあって、1冊の本が出来上がっているのだと実感。
わかりやすいお話で、最後はハッピーエンドでほっこりする。
特に事件も起こらず、ハラハラドキドキもしない世界だが、実はこのような平和で温かい家庭環境が守られていること自体が奇跡だと私は思う。ことに最近は「毒親」「親ガチャ」など、家庭崩壊や親族関係の悪化・陰惨な事件が多く報道されているし、「結婚離れ」も進んでいるとか。
家庭を持てば幸せになるというのが幻想にすぎないと、自分たちの両親や周囲の大人たちを見て、あるいは自分の仕事や生活・収入などの現実をみて、家庭を作らないと決める人も増えているという。
そんな最近の風潮とは全然違う70年代の作品。
それが今も読まれているのは、時代や人の考え方が変わっても、幸せを求める気持ちは変わらないからだと思った。