スリをして生きている少女が主人公ということが、まず衝撃でした。
色彩のない街は少女の心そのもののようです。
その少女が奪い取ったのは、カバンいっぱいのどんぐりの実。
不用意に「どんぐりを植える」ことを約束した少女ですが、約束を守ることができたのは、少女の心のどこかに良心があったからでしょう。
どんぐりを植えることで、町には次第に緑が芽生え、色が埋めていきます。
象徴的な絵の中に、少女の救済が描かれています。
少女もまた、どんぐりの実の入ったカバンを盗まれます。
でも、かつての自分のように、盗んでいった若者に夢を託す少女は、いつか心豊かになっていました。
ローラ・カーリンの絵には、いろいろなものが埋め込まれていて、意味深く感じました。