うさぎのぴっぴとみいみがお弁当を持ってお花見にでかけると、そこにはもう先客が。
先客はやまねこ、いのしし、きつね、いたち。
くるりと振り向いた彼らの顔は、冷たそうで、乱暴そうで、意地悪そうで、あやしい。
そこへ大風が吹いて、みいみが飛ばされて穴に落ちてしまい、みんなが助けるのを手伝ってくれました。
ありがとうと言って、もう一度みんなの顔を見ると、同じ顔なのに(穴開き絵本で、顔の部分はずっと同じ絵なのです)、りこうそうで、たよれそうで、やさしそうで、おもしろそうに見える。
実はどちらも、相手を知らなかったから、相手が怖く見えていただけなんですね。
その日から、みんなは仲良しになりました。
先入観というと、大人だけが持っていると思いがちでしたが、子どもの世界でももちろんそれはあるんですよね。
この子と友達にはなれそうもないなと思って見れば、相手が怖くみえるし、この子と友達になりたいと思って見れば、とても優しそうに見える。
穴開き絵本で、同じ絵の顔を使っているため、なるほどまったく同じものを見ても、先入観でこんなに差ができるんだな、と感心しながら読みました。
しかけ絵本の元祖しかけ人、きむらゆういちさんの文に、子どもにも親しみのある、いもとようこさんの絵です。