クリスマス絵本の中で、「くろうまブランキー」のお話が特に好きな娘のために、ずっと読みたいと思っていた1冊でした。娘は、動物好きなことに加え、エインズワースの作品も、「こすずめのぼうけん」や「しおちゃんとこしょうちゃん」など、お気に入りのものが多いので、このお話なら文句なしに娘の好みにぴったりだろうな、と想像はしていましたが、娘に読む前に、私のほうが感動して、涙がじわじわと潤んできてしまいました。ちいさなろばの目が、本当に澄んでいて、やさしく、お話も夢があって、温かく、ページをめくるごとに、自分自身の心もクリスマスの奇跡に包まれていくようです。
娘は、ちいさなろばが、囲いの中をひとりぼっちで走っている絵を見て、「ろばさんに、食べさせてあげる人はいないの? 死んじゃうよ。」と心配そうにしていましたが、クリスマスの奇跡の物語が始まると、ろばと同じように、純真な瞳を輝かせ、「わぁ!」と小さな驚きの声を何度も発していました。足を痛めたトナカイが、ろばのほうを向いている絵を見たときには、「ろばさん、ほんとに大丈夫かなあ?、お空を飛べるのかなあ?って言ってるんじゃない?」と、笑っていましたが、いよいよろばがそりにつながれ、夜空へと飛んでいくと、もう完全にろばと一体となって、空を駆け抜けているかのようでした。そして迎えるラストシーン・・・ちいさなろば以上にうれしそうな笑顔を見せてくれた娘でした。
サンタさんが子どもたちの靴下に入れてくれるプレゼントの中身も素敵ですね。「絵本・大草原の小さな家」シリーズの「おおきなもりのクリスマス」という本の中にも、クリスマスの朝の風景が描かれていますが、質素で、慎ましやかな、古きよき時代が偲ばれ、心が温まります。本当のよさというのは、小さな子どもにも、まっすぐに伝わるものなのだなあ、と思いました。