初めて読んだのは保育園生の時でした。
母も父も仕事柄忙しく構ってあげられず、まあ歳の離れた兄と姉は面白くもない妹に構いたくなかったのかいつも置いてけぼり。そんな私を不憫に思ったのか中々子供に構いたがらない(今では信じられないでしょうが本当に昭和男でした)父が私に一冊の本をくれました。それがでんしゃでいこう でんしゃでかえろう。祖父母に何度も読んでもらいました。兄も姉もその絵本が気に入りよく取り合いになっていたくらいです。
春夏秋冬トンネルを抜けると移り変わり、私もこの電車に乗りたい、この電車を運転したいと心から思ったことをよく覚えています。
月日は流れ久しぶりにこの絵本を必死に探し、埃を被った状態で見つかりました。ワクワクしながら読み返してみるとあの時感じた思いが胸を熱くしました。あの時に戻りたいと心から思いました。
姉は就職し今は実家を離れて住んでいます。兄は今年就職しました。私は今年の三月で実家を離れ来年には日本を離れることが決定しました。3人で仲良く囲んで喋りながら何度も見た絵本。亡くなった祖母が何度も読み聞かせしてくれた絵本。もうあの時に戻ることは出来ないけれど、あの時の思い出は一生私から消えることは無いし、何度もこの絵本のページを開けば私たち家族の思い出が蘇ってきます。
私にとってこの絵本はただの絵本じゃなくて頑固だった父の初めてのプレゼント。三兄弟の思い出。祖母の思い出。多くの想いが詰まってます。