今まで「つるのおんがえし」のおはなしを、頭の中でイメージしていたのは、白黒の景色だけでした。でも、この絵本を読んで、「私が想像していた景色に色がつくと、こんな感じなんだ」と感動。美しくもはかなく、静かで冷たい風景がそこにあります。
この絵本ではじめて「つるのおんがえし」を知った5歳の娘がこれから思い描くのはこの挿絵のこの景色なのかな?と思うと、感慨深いものがありました。そしてうらやましくもあります。鶴と男が出会う場面の朝焼け、雪が舞う景色、鶴が織る反物。そして覗かれてしまった鶴の姿。どれもこれも息をのむほど美しいものでした。
読み終わると娘は、「なんで見ちゃいけないの?」と聞いてきました。確かに鶴のことを心配して覗いただけなのに。と私も小さいときに思っていた疑問でしたが、その答えがきちんと巻末で解説されていたのもうれしかったです。
昔話は必ず子どもを夢中にしますが、このシリーズはどの絵本も、大人に新しい感動を与えてくれます。これからも親子で何度も楽しみたいと思っています。