べスコフの絵本の中でも、特に、娘が気に入っている作品です。ダンスが大好きで、妖精にあこがれている、とあれば、「ダンスのすきな ようせい」が主人公のお話に夢中にならないはずがありませんね! 1ページ目から、すでにようせいになりきって、「ようこそ おひさまのダンス」、「くるくる まいおちる おちばのダンス」、「はらはら ふりつもる ゆきのダンス」を、順々に踊ってみせてくれます。(その間、絵本の前でひたすら待つ母!)
ようせいが「おひさまのたまご」を見つけると、すかさず「違うよ〜!No way!」と、子どもらしい訂正を入れていましたが、いつのまにか森の仲間たちに加わったように、わくわく、どきどき。りすが「たまごのから」をかじってしまったり、やんちゃなコッテが思いっきり「フットボール」みたいにけとばしてしまったり・・・。 でも、渡り鳥のズアオアトリに、「おひさまと なかよしの くだもの」と教えてもらい、みんなでオレンジに草の茎を差し込んで「チューチュー、ゴクゴク。」と飲む姿に、娘もにこにこ。
そこへ、「いやしんぼのカラス」が飛んできて、オレンジを一口で飲み込んでしまったから、さあ大変。のどにしっぷをしたカラスが、その後どうなっちゃったのか、やっぱり欲をかくとこんなことになっちゃうのか、とカラスを哀れみながらも、泣いているようせいをコッテと同じ表情で心配していました。
そして、「おひさまのくに」は、まさに地上の楽園! 100年以上も前、まだテレビもなく、海外旅行だって自由にはできなかった時代に、北欧で生まれ育ったべスコフにとって、オレンジがたわわに実る南の国は、それこそ想像の中の世界だったのでしょうね。光あふれる色鮮やかな絵を見ながら、べスコフの生きた時代に思いをはせています。
娘も、「このページが1番好き!」と言い、「きれ〜い!きれ〜い!」と、ため息混じりで感動に浸っています。「Jもこの絵描いてみたい!」と言って、読み終わったあとも、飽きずに見つめていましたが、翌朝1番で、娘がノートに描いたその絵を見て、「ああ、本当にあのきらきらと輝く色彩が、心の中に焼きついているんだなあ」と、今度は私のほうがすっかり感動してしまいました。
べスコフの絵本には、お話の終わり方がすばらしいな、と思うものがたくさんありますが、この作品もその1つです。「ラッセのにわ」の男の子と結びつけて、そこからまたさらにお話の情景を広げていくのを楽しみました。