ママ友との待ち合わせで時間つぶしに本屋の絵本コーナーにいた時に目に入った本でした。
ちょうど息子が初めての歯が抜けたばかりだったからでしょうか、読んでみて、
とても惹きつけられて、息子本人にも読ませたいと思って図書館で借りました。
ケイティは前歯がやっとぐらぐらし始めて、とっても嬉しくなりました。
というのも、ケイティ以外はみんなクラスで歯が少なくとも1本は抜けていたから..
とうとう自分も抜けるかと思うと嬉しくて嬉しくて... これでみんなに自慢されなく
てもいいし、とうとう、“はのようせい”があたしのところにもくる!と大喜び。
それで始終、ベロの先でぐらぐらの歯を押したり、手で触ったりして、しまいには血が
出てしまいます。そのまま放っておくように言われ、給食を食べていると、なんと
悲劇が! という話です。
なんだか絵がごちゃごちゃ、ドタバタしていて忙しい絵本だなぁが最初の印象でしたが、
ページが進むごとにとても惹きつけられます。というのも、ケイティの自分だけ
歯が一本も抜けていないという、もう悲しみにも似たような気持ちがとてもよく
伝わってくるし、しかもそれとは反比例して読み手には笑いを誘うように描いて
あるからです。
実はウチの息子も幼稚園の年長さんの時に同じことがありました。同じ場所が抜けた!
と楽しそうに下駄箱で話していたクラスの子に、「邪魔だからどいて!うるさいなぁ!」
って大声で言ったことが... 悔しかったんでしょうね。
親の私は、おいおいおい! そこまで言うか?!って冷や汗でしたが。
そして何と言っても、給食で歯を飲み込んでしまって、もう“はのようせい”が
自分のところに来なくなったと落ち込んだケイティに対する先生の対応が、
これまたすごくいいんです!
子供の気持ちに寄り添った先生って正にこういう先生なんでしょうね。
そして、ケイティが粘土で歯を作っている間に、他の子達に“はのようせい”の絵を
描かせるなんて、これまたすごい上手いなぁと、作り話ながらとてもよい指導方法に
感心します。最初に本を手に取った時にはよく分からなかったのですが、表紙の内側に
並んでいるたくさんの絵が、彼らの力作の“はのようせい”で、どの子の絵もとても
興味深いです。
最初の印象のごちゃごちゃ・バタバタも、読んでいる間に、子供達の活気という
リアルな学校の空間を表現しているように思えてきて、逆に効果的だと感じました。
そして抜けた歯に関して、日本とは慣習が違いますが、なんだか夢があっていいなぁと
思います。息子には人一倍、ケイティの気持ちが分ったようで、ケイティの度重なる
“この世の終わり”に笑いながら、とても心に残った絵本のようでした。
歯が抜けない!と悩んでいるお子さんに、とてもお奨めです。
そして、歯が抜けたお子さんにもいいかも。
とにかく微笑ましい話です。是非、読んでみてください。