「みどりのふね」「あたまにつまった石ころが」「雪の写真家ベントレー」「ウエズレーの国」などを訳している千葉茂樹。彼の訳している本はどれも秀作ぞろいなので、この本も読んでみたくて選びました。
もし自分が学校の先生だったら、小学校高学年や中学生に読んでみたいと思う内容です。
南北戦争でまず思い浮かんのは「アンクル・トムの小屋」。この本も涙なしでは読めませんでしたが、このお話も実話だけあって、真実の重みがどっしりと迫ってきます。
戦争中、けがをして倒れているところを黒人のピンクスに助けられた白人のシェルダン。
二人は、シェルダンのけがが癒えるまで、ピンクスの母に面倒を見てもらいます。
二人は共に少年兵。戦争は少年であっても容赦なく巻き込まれるということ、ピンクスは戦争を自分の戦争として捉えているのに対して、シェルダンは戦争が怖くて逃げ出した脱走兵。同じ少年でありながら、戦争に対する温度差。
勇敢なピンクスに引け目を感じるシェルダン。
戦場となったお屋敷で帰ってくるであろう子どものために危険を承知しながら屋敷に住み続けたピンクスの母。
その母が、二人の少年をかくまうために、南軍の犠牲になってしまいます。この母親の気持ちは、母親ならではの無償の愛を感じさせます。
絵本なのですが、ぎっしりと詰まった内容で、読者を惹き付けます。それと同時に戦争の悲惨さがひしひしと伝わってきました。