小2の息子と読みました。
息子は、第二次世界大戦や原爆の知識は多少あります。
原爆ドームの元の名は、広島県物産陳列館で、
設計者はチェコの若き建築家だっとことなど、私は初めて知りました。
以前、平和記念館を訪れたことがあるけれど、
この建物について、
私は何も知らなかったのだなということがわかりました。
1回目一人で読んだとき、私は微妙な気分になりました。
広島では14万人の命が失われたのですが、
原爆の恐ろしさや命の重みを考えると、なんだかちょっと違うような気がしたのです。
この本で、建物について知ることはできました。
でも、その分人の命の重みや原爆の恐ろしさについては、
やや伝わりにくいものになっているように感じました。
少なくとも私は、
原爆関連の本に、そういった要素を求めてしまうのです。
でも、2回目に息子と一緒に読んだ際には、ちょっと違う感想をもちました。
私が子どもの頃に初めて読んだ原爆の本は、
多数の人が焼け死んでいる生々しい挿絵で、
夜も眠れないくらいの恐怖を感じたのです。
でもこの本はちょっと違う。
活気があった建物が、一瞬にして廃墟となる。
そういった恐ろしさ。
子どもが原爆を知るための導入としては、
こういった物語から入るのもよいのかもしれないと思いました。
いろいろな表現方法があってよいはずなのに、
こういったプロパガンダ的要素の低い原爆関連の本は、
案外少ないものです。
被害者である日本人には作れなかった本なのかもしれません。
息子も興味をもって聞いてくれました。
スズキコージさんの挿絵が、素晴らしく、
擬人化されたドームの恐怖心や不安感など、
心情などをうまく表現されていました。
活気があった当時の空気感や、
被災後の不気味な雰囲気などもきちんと伝わってきました。
後書きにあるけれど、アメリカ人の多くが、
「原爆のおかげで戦争が早く終わった」と思っている。
そのアメリカ人が書かれた本ということだけでも
大きな意味があるのでしょう。
日本だけでなく、アメリカでも出版されてほしい本です。