私は、スタイグは絵本ではなくこの児童書から読みました。
一人で読むなら高学年からだと思うのですが、当時一年生だった息子に読んで聞かせると、おもしろかったらしく一気読みしました。
児童書に冤罪を持ちこんでしまうすごさに、正直うなりました。
それから、わが家ではスタイグ三昧が始まりました。
すべての作品を読んでいませんが「ピッツアぼうや」「ロバのシルベスターとまほうの小石」は、スタイグ作品のベスト3だと思っています。
宝物殿の鍵を持つのは王様とガーウェインだけ。
鍵はしっかり閉まっていたはずなのに、宝物が盗まれていきます。
状況証拠から、犯人はガーウェインしか考えられません。
冤罪をかけられるということはないにしても、子どもであればいじめや仲間はずれで、一夜にして信頼できる友だちがすべて信じられなくなるという状況は起こり得ます。
そして、そういう経験は私にもあります。大人になっても、そういう事態は起こり得るでしょう。
人が信じられなくなる失意、苦しみを冤罪という題材で、子どもにも伝わりやすく描くスタイグは、すごいなあと思います。
読み聞かせをすれば読解力にもよりますが低学年から、そして大人まで幅広く読めると思います。
スタイグの魅力を絵本だけでなく児童書でも味わっていただきたいと思います。