山のふもとの一軒家に一人で暮らしている、うめばあさん。
とっても寒がりのうめばあさんは、冬が来るとゆううつになります。
家の中を充分温かくしても、セーターやスカートを重ね着して、帽子をかぶってマフラーを巻いても、まだ背中のあたりがすうすうします。
そこでうめばあさんはあちこち探して毛糸を集め、肩掛けを編み始めますが…?
つなぎ目だらけで色もちぐはぐ、太さもまちまちの毛糸でしたが、すごく素敵で暖かな肩掛けが編みあがりました。
それは毛糸一本一本にこもった思い出のおかげ。
ひとりぼっちの寒さに慣れていたうめばあさんを、たくさんの思い出が取りまいて、なつかしい人達が語りかけてきます。
人けの少ない部屋って、それだけで寒々するもの。
でもうめばあさんには、あふれるほどたくさんの人達との思い出があったんですね。
読んでいて、なんだか胸が熱くなりました。
春が近づき肩掛けからのおしゃべりが聞こえなくなると、おばあさんは肩掛けを丁寧に洗って干し、ほどいてまいて、また大きな毛糸玉を作ります。
その次の年はたくさんの思い出と語り合いながら、どんな素敵な小物が編みあがるんでしょう。
つながれた毛糸が、うめばあさんの過ごしてきた人生と同じように大事なものに感じられる絵本でした。