全ページ試し読みで息子達と一緒に読ませていただきました。
風の子・フーとひめねずみの出会いと別れ、かなわなかった再会が、切なく胸に響くストーリー。
ふたりをつなぐ、炎が透けるガラスのストーブが強く印象に残りました。
ガラスの持つ美しさ、透明感、儚さ、割れてしまったら元には戻れないというイメージが、このお話を象徴しているような気がします。
降谷ななさんの絵が、安房直子さんの世界に本当にぴったりでした。
好奇心を抑えられずに旅立つフーをひめねずみが見送る場面で
小2の息子は、私や弟に悟られないよう、声を殺して、あさっての方を向いて涙をぬぐいながら号泣していました。
こんな物語に感情移入できるようになったのか、
こんな泣き方をするようになったのか、とそちらも感慨深かったです。
年長の息子は、兄が泣いていることにびっくりしていました。
ふふふ、君にはまだ分からない「切なさ」という感情があるのだよ。
最後、フーの成長に感じ入ってしまったのは親の私の方でした。
ずっと心に残りそうな、そんな作品。
小学校中学年位から大人の方におすすめです。