『アンパンマン』で有名なやなせたかしさんの、ちょっぴりせつないお話。
高い山のふもとにあるオビエ村。
いつからでしょうか、山にはキラキラという怪物が住むようになり、村人は怖がって近づかなくなります。
そんなオビエ村に、勇ましい兄弟が住んでいました。
兄のキルは弓の名人、弟のキリは棒の名人です。
「キラキラがなんだ、このぼうでたたきころしてやる!」
山に登ったきり帰ってこないキリを探して、キルは山に登りますが…?
子供にも簡単に読めるお話でしたが、その内容の深さに胸がつまりました。
人はどうしても見た目や自分との違いを重視してしまいます。それが間違っていると、頭でわかってはいても――。
「人を見た目で判断してはいけないよ」
私達大人も、そんなふうに子供に注意を促したことがあるのではないでしょうか。
でも自分達大人もそれを実践できているかと問われると、言葉に詰まってしまうところです。
キルが弓と矢を投げ捨てた場面のキラキラの表情が、深く胸に残りました。
わかり合うことの難しさを、改めて考えさせてくれる絵本です。