219ページにわたる絵本の大作。息子相手に読み聞かせ40分。とても気力のいる絵本です。
しかし、読み終えてみると、このボリュームは梅田さん夫妻にとって必要な厚さだったことがわかります。それほどこの219ページには梅田さんたちの思いが満ち溢れているのです。
話はいじめの話です。小学6年生のクラスのいじめがテーマ。
写生のときにヤラガセたちにいじめられていたドンチャン。そのことを言い出せない僕。日常のクラス、万引き、劇の発表会、卒業式。主人公が過ごした小学校6年の一年。人間関係、心の動き、行動を梅田さんたちは白黒のざらついた絵で表現しています。話は濃厚なのに、文章は凝縮されていて飾りがない。あえてシンプルな絵を押し通しているところに、いじめに真正面から取り組もうとする姿勢がにじみ出てきます。
息子は、自分に照らして見ていたのでしょうか。長い読み聞かせに付き合ってくれました。他人事ではなく、身近な小学校でも中学校でも、いじめやら、しかとやら、子ども同士の人間関係、親との関係、きれいごとでは済まなくなってきている状況を感じます。
絵本を読むことだけで、きれいごとで終わらせてはいけない。かといって、絵本で説教してはいけない。
絵本を読むことだけで思いを伝えること。これが重要かと思いました。