素敵な絵本に出会えました!
文章がありません。
全てが精緻で饒舌な絵で語られています。
幸運なことに、いつもはカバー折り返しから読み始めるのですが、どうしたことかこの作品は、本文から見ました。
かつて馬車の後ろに繋がれていたような木製のコンテナに独居する貧しいおばあさんが主人公です。
床が抜け、窓も凍てつき、室内の空気の冷たさを感じます。
起き抜けにケットを纏い、おばあさんが尽きた食料や薪そしてお金に落胆する表情も痛々しい。
さて、どこへ出かけるかと思ったら、貧者救済のための献金箱をイエス生誕のレプリカ人形たちとともに飾る老人の姿の見える教会を横目に、町へと出て手風琴(アオコーディオン)演奏で一稼ぎをと考えたようですが、・・・。
質屋で、手風琴にお別れの口付けをし涙するおばあさんの表情に胸が痛くなりました。
ところが、さらにおばあさんに災難が、・・・。
バイクでつけられた雪の轍を辿っていくおばあさんの必死さに、思わず応援してしまいました。
そして、この後のおばあさんの善行が、おばあさんにとても素敵なクリスマスを導いてくれます。
神様は確かにいらっしゃると思えるお話です。
おばあさんの為に奔走するレプリカ人形(イエス・マリア・ヨゼフ・東方三博士・羊飼い)の動きのコミカルさに嬉しさと共に笑いがこみ上げて来ました。
まさしく、「A Small Miracie」でした。
中・高学年から大人の方まで楽しめる作品だと思います。