昨年の夏読んで、気になっていた絵本をもう一度読んでみました。
カッパのガータロに誘われて、カッパの国に行ったおっきょちゃん。楽しくて、人間でいたときを忘れていきます。
それを思い出させてくれたのはお母さんの作ってくれた人形。
思い出せば思い出すほど、元の世界に帰りたくなったおっきょちゃん。
ガータロとそのお母さんが、おっきょちゃんの帰りを手伝ってくれました。
カッパの世界の楽しさ。打解けてしまえば、とても仲のいい社会でした。
それでも自分はカッパじゃない。
帰りつけるだろうか?はらはらどきどきさせる絵本です。
スイカの中に入って人間社会にもどったおっきょちゃん。
夏向きの絵本だと思います。
そして、日本の情緒感にとても訴えるものを持っています。
この絵本を見直して気になったのは、お母さんの作ってくれた人形。
人間社会に戻れたスイカの中にそっといました。
ページを戻せば、おっきょちゃんが一人裏の川で遊んでいたとき遊び相手はこの人形でした。
人形と遊びあきたときにカッパが登場したのでしょう。
最後には友達と遊んでいるおっきょちゃんですが、標題紙のところでは水遊びする子どもたちから離れ一人服を着ています。
友達から相手にされず、さびしくておっきょちゃんは人形と遊んでいたのです。
おっきょちゃんは一緒に遊べる友達が欲しかったのです。
カッパの世界は楽しかった。
でも、自分は人間。
人形がおっきょちゃんに自分を取り戻させてくれた意味は大きい。
そして、人間の世界に戻れたことはとても良かったけど、戻れないかもしれないという不安感をこの絵本は伝えてくれています。
一人ぼっちだったおっきょちゃんと人形のことをいかに浮かび上がらせるかが、この絵本を読む上でのポイントだと思いました。