読み終えて、救いようのない悲しみに包まれたのです。
同じ国民が闘い、人種を越えた友情があった。それも奴隷解放に向けたリンカーンの政策による南北戦争。
文字も読めない15歳のシェルダンにとっての戦争は何だったのだろう?家に帰りたい。
ピンクスにとっての戦争は自らを奴隷制度から解放するための闘い。
それにしても、同じ人間同士、国民同士が殺戮の中で振りまわされてしまうのです。
怪我をしたシェルダンを助けた黒人のピンクスは、自分の家に彼を連れ帰って怪我を治療します。
家には母親一人。父親は戦争に行き、他の者は逃げてしまった。すべて戦争のせいです。
その母親が二人を守るために南軍に殺されてしまいます。
そして、二人も南軍に捕えられて捕虜収容所へ。
シェルダンは生き残り、ピンクスは殺されてしまったという。
これを運命と言ったらあまりに悲しいことでした。
これが事実と言ったら、現代はその史実の上に成り立っているのでしょう。
この物語のキーワードは腕。それもリンカーンと握手した腕が、ピンクスに取ってもシェルダンにとってもとても大きな意味を持っていました。
ただ、タイトルは原題の「ピンクとセイ」の方が好きです。
心の通い合いの物語だから。