『世界で一番の贈り物』のコンビ、マイケル・モーバーゴとマイケル・フォオアマンの作品というだけで、早く手にしたかった本です。
タイトルも気になっていたのですが、これだけ深い意味があったことに衝撃を感じています。
世界的バイオリニストのパオロがモーツァルトを引かない訳は、彼の生い立ちにありました。
自宅で見つけた、父親が隠していた古いバイオリン。
道端でバイオリンを弾いている老人。
両親と老人の共通の過去。
たどり着いたのは、大戦下のユダヤ収容所でした。
生き残るために弾いたバイオリン。
モーツァルトの曲の中で収容所に送りこまれていく多くのユダヤ人。
3人は仲間たちを見送りながら、生きるためにモーツァルトを弾き続けたのです。
モーツァルトにはとても失礼な話かもしれません。
でも、パオロは最後まで生きていた父親を亡くして、モーツァルトを弾く決心をします。
それは多分、暗い過去への決別。
父母と老人の葬送の思いが込められていると思います。
読み終えて深い感動と悲しみを感じました。
これは、読まないとわからないお話。
この夏巡り会った最高の本としてお薦めします。