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いまいましい石」 12歳〜のお子さんに読んだ みんなの声

いまいましい石 作・絵:クリス・ヴァン・オールズバーグ
訳:村上 春樹
出版社:河出書房新社
税込価格:\1,815
発行日:2003年11月
ISBN:9784309267005
評価スコア 4.47
評価ランキング 10,785
みんなの声 総数 16
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12歳〜のお子さんに読んだ みんなの声から

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  •  オールズバーグさんの色彩豊かなパステル画です。
     彼の用いる色は、現実の世界のものとは異なる妖気を帯びた不可思議なものが多いと思います。
     ストーリーが現実から逸脱した世界へと誘われるものなので、思わずその色彩の異様さをこちらが受け入れてしまいます。

     この作品も、特殊な体験をしたリタ・アン号の船長ランドール・イーサンの航海日誌からの抜粋というスタイルでお話が進み、しっかりのめり込み読みました。

     航海の途中、海図上には認められない島に船員と共に上陸し、不可思議な石を船へ持ち帰った。
     ここまで、登場人物たちの正面からのアップの描写は一つもなく、奇行が目立ち始めた船員すら表紙絵で観るとおり、背後からの描写です。

     そして、前部ハッチの中の船員たちの並んだページで、始めて灯かりが差され、表情の読み取れる描写になっています。
     このときの不気味さといったら、表現しようがありません。

     静かで淡々とした日誌の文章が、一層このお話のミステリアスさを増幅させてくれます。

     ラストの一文に、ニヤリとできるのはやはり高学年でしょうか。
     
     大人もどっぷりと、この異様な世界に浸かってみるのも絵本を楽しむ醍醐味かもしれません。

    投稿日:2010/11/01

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  • オールズバーグならではの作品です

    航海日記に描かれた不気味な出来事。
    淡々とした文章とさりげない絵で通していることが、かえって話の不気味さを強調しているように感じました。
    Wretchedをいまいましいと訳したこともなにかあるかもしれません。

    航海していて、立ち寄った地図にない島。
    土産代りに船に持ち込んだのが「不幸を呼ぶ石」。
    放射能のような石の発するエネルギーで猿になってしまった船員たち。
    14枚の光景の中に、とんでもない物語を凝縮してしまったのは見事だと思いました。
    余韻を残したハッピーエンドですが、怖いまま終わっていたらちょっと子どもには薦められないかも。

    投稿日:2010/08/22

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