『アンネの日記』を読んだことのある人ならば、アンネの気持ちが解る人ならば、この絵本で一本のマロニエが語る物語はとても悲しく辛いものではないでしょうか。
隠れ家で2年数か月をひっそりと暮らし、思春期を育ち、15歳で命を失ったアンネ。
明るくて自由闊達な少女が、ユダヤ人であるために、ナチス・ヒトラーの政策のために、狭い場所で息をひそめて暮さねばならなかったビルの屋根裏部屋。
その窓から見えるマロニエは自由の象徴だったのです。
そのマロニエから見たアンネの生活。
マロニエはアンネの生活を通して、あの当時の歴史を語ります。
そのマロニエは戦後も生き残っていましたが、2010年の台風で倒れます。
このマロニエのことも、マロニエの苗木が世界の各地で育てられていることも知らなかったのですが、忘れてはいけないことを語り続けるものが、今もあることを感慨深く受取りました。
『アンネの日記』を知らない人には、まずそちらを読んでほしいと思います。
アンネを知ることによって、この本が光ってくると思いました。