この本の原題の「The Stranger」がどうして「名前のない人」なのか、何度読み返しても不思議な感じがする本です。
ベイリーさんが車をぶつけた男。よく考えると、鹿かと思ったというのもとぼけた話ですが、飛び出してきたのでしょうか?
医者が使えない体温計で診察したのもとぼけた話。
それは置いて、この本のなぞ解きはこの「The Stranger」が何者なのかを考えることなのでは。
季節を変えていく神様? 森の精?
この男がいると、秋が来ない。うさぎから仲間のように思われる存在。
ヒントはいろいろあるのだけど、やっぱり「知らない人」は「謎の男」なのでしょう。
けなしているようで、何か気になる絵本なのです。
登場する人物の表情が良い。猫でさえも表情があります。
答え探しではなく、読む人を煙に巻くようなオールズバークのマジック絵本。
男は、自分が何者なのか思い出したのでしょうか。ベイリーさんの家を飛び出します。
そうしたら、自分の家にも秋が来ました。
「名前のない人」は私の頭の中で風のように通り過ぎました。