タイトルと作者名から、ユーモア溢れる楽しい読み物かと思い手に取りました。
“キッパリ”とした文体の書き出しが、読みやすく笑いをこらえながら読み進めました。
主人公は、おおかみになりたいたれ耳犬のジョン。
おおかみになりたいと思ったきっかけを知り、クスリ。
ここで、やっぱり愉快なお話だと思いました。
ところが、この決意が本気であることを納得したのが、“ジョンは獲物(ウサギ)にガブッと食らいついた”という場面。
これは、マジなお話なんだ、と気を入れ直し読みました。
おおかみの群れに入れてもらうまでの苦労。
犬であるが故のいじめ。
人間の飼い犬だった故身につけた知恵をフルに絞り、奸計に負けず、群れの一員として立派に成長していくジョン。
息子は、途中度々、「ジョン、カッコイイじゃん!」と独り言を言いながら読んでいました。
私もジョンのひたむきさ・優しさ・強さに感激しつつ、野生の中で生きていく決意の固いジョンを、もうこちら(人間界)へ呼び戻そうとは思わず、夢中で読みました。
ラストの閉じ方も少しクスリとさせられ、あたたかい気持ちになりました。
高畠先生の挿絵が、柔らかい描写と鋭く厳しい描写が相まってお話を一層素敵にしていました。
少々長めですので、一人読みなら中学年から・読んでもらうなら低学年からという作品だと思いました。