一生を舞台の裏舞台で演劇を支え続けたオフェリアは幸せだったのでしょうか。
年老いて、解雇されて、伴侶もいない孤独な生活の中で、人には解らない自分だけの世界を生きて行くのです。
そして孤独に死んでいくのですが、この物語は崇高です。
オフェリアは、誰のものでもない影たちと生活して、自分の身に沁みついた演劇の台本を彼らに伝え、影はそれを演じることになりました。
「オフェリアと影の一座」として、世界をめぐり始めます。
現実感がないので、妄想なのでしょうか。
それを幸せというのかどうかも、考えてしまいます。
でも、人生の思い出たちが、自分の最期を演出してくれるというところには、ちょっとひかれます。
死をむかえるとき、こんな味わいのある受け入れ方ができたら素晴らしいとは思いました。
ヘッヘルマンの幻想的な絵が、物語の味わいをみごとに演出しています。
少し重い内容ですが、生きるということを、こんな絵本で考えても良いかと思います。