春まだ浅き日、ひたすらウトウトする大きなくまさんのもと、
月曜日に可愛らしいうさぎさんが訪れます。
声を掛けるも、がっかりな返事。「う〜ん ちょっと まって。」
それから毎日、かわるがわるお友だちがやって来ます。
おしゃれなパジャマに毎日着替えているのに、
つむっている目からは、眠くてしかたない感が、
寝ている体勢からも、うだうだしている様子がうかがえて
なんとも微笑ましい!
毎日来るお友だちの問いに、一応考えながら、
「ちょっと まって。」とだけは、ちゃんとお返事するくまさんですが、
だーれも来ないしーんとした土曜日に、
「ちょっと まてよ。」と気づきます。
月曜日から金曜日までの、来客の意味がやっとつながったようですネ。
大切なことって、心で記憶しているのかな。
むっくりと起きてから、あわてて準備するくまさんの様子に
こちらもハラハラドキドキ。
さて日曜日に何が起こるのか? クライマックスに期待が高まります。
春らしいパステルカラーのユーモラスな絵に、シンプルなせりふ、
そして「ちょっと まって」のニュアンスの異なるリズムで綴る
春の一週間。ページをめくるたびに登場する動物もチャーミングです。
お誕生会という結末がわかってしまっても、
何度も読み返したくなる楽しさが、子どもの気持ちをとらえます。
でも、おねぼうくまさん、あとかたづけはゆっくりでいいから、
来年は早く起きてね。みんなから頼りにされているのだから。