大きな木がありました。
大きくなりたい こねこがいました。
こねこは、木や、まわりの生きものに聞きます。「ぼく、おおきくなれる?」「ぼく、おおきくなった?」
こねこの気持ちは、大きいものに憧れる人間の子どもと同じ。高みをめざし、少しずつ上へ上へと登れるようになる様子は、こねこの成長そのもの。
木は、めぐる季節の中で、姿を変えます。実ができたり、色づいたり、葉を落としたり・・・。こねこはその中で大きくなっていきます。「ぼく おおきくなれる?」
木は優しく見守っています。「きっと おおきくなれますよ。」
木の太い幹の黒に、こねこの目の青色、葉っぱの緑色、蝶の黄色、木の実の赤色が入り、それらの色がとても美しいです。とうとう木の一番上まで登って、こねこが見た空の色はとってもさわやか。
画面いっぱいに描かれたダイナミックな樹、稚気を感じる可愛いこねこ。力強さ、伸びやかさ、可愛らしさ、いろんな要素のある魅力的な絵で「成長」を描いたステキな絵本だと思います。