【あらすじ】
好き嫌いの激しいワガママな少年は、妹のカレーの肉を勝手に食べ、自分のカレーの野菜を捨てて、親に怒られても全然こたえない。そんな少年は地獄域になり、カレーに吸い込まれる。やってきた地獄では野菜と一緒に切り刻まれ、鉄鍋で炒められ、釜茹でになり、激辛カレー責めにあい…あらゆる拷問をうける羽目に。はたして少年は悔い改めることができるのだろうか?
【感想】
好き嫌いの多いワガママな子どもに、是非とも読ませたい一冊。
主人公の少年に同情の余地はなく、もっとしっかり反省するまで長々とカレー地獄に居て欲しいと、心の底から思いました。
たぶん、個人的な経験として、兄弟から「勝手に自分の好きな食べ物を食べられた」という思い出があって、いまだに許せないからでしょうか。食べ物の恨みは怖いものですな。
さておき、今時めずらしい、古風な、昭和レトロな作風は、子どもというよりも大人に受けそうな予感。地獄の風景も、江戸時代のような昔よりも、ちょっと昔の昭和の方がリアルな感じがしていいのかもしれません。作者のセンスの良さが光ります。
世の親たちの苦労が察せられます。好き嫌いやワガママ、身勝手な態度など、何度も堪忍袋を爆発させていることでしょう。絵本ですら、私はこんな子どもの嫌な態度に我慢できません。子育てをしている人が、観音様に見えてきました。
ちなみに、自分の子どもの時は好き嫌いを言ったら最後、「食べなくてよい」とご飯が終了でした。泣いてもわめいても情状酌量はナシ。おなかをすかせたまま、その辺をうろうろしていました。古い時代の話ですが、甘やかしすぎるよりはよかったのかと、今では思います。実家の親たちは、地獄の鬼より恐ろしかったことを思い出しました。