天人女房・・・いわゆるたなばた物語です。
羽衣をなくした天女は、牛飼いの男のお嫁さんになり、
幸せにくらしていましたが、ある日、なくしたと思っていた羽衣を、
見つけてしまいます。
ふたりの子どもに恵まれましたが、ふたりの子どもを連れて、
天の国に帰ってしまいます。
天上界に住む天人と、地上に住む普通の男との結婚は、
はたして幸せになれるものなんでしょうか。
妻の後を追って天上界に行った牛飼いの男に待っていたのは、
父神の無理難題な命令でした。
しかし、父神ではなく、妻の言うことに従うと、
その問題を乗り越えていけたのです。
しかし・・・
天女と牛飼いの男の夫婦愛というものを、とても強く感じました。
一方、父神も、娘(天女)に対しての愛情からでしょう。
地上の男に娘はやるまいと必死に、無理難題を言い続け、
そして、ふたりは、とうとう天の川をへだてて、
別れ別れになってしまうのです。
元はといえば、男が羽衣を隠したことから始まった夫婦生活。
ふたりは本当に幸せになれたのでしょうか。
悲しい愛のものがたりですが、
織姫星と彦星になった彼らの幸せを願わずにはいられません。
奄美諸島を中心に伝承された原話に基づいて書かれています。
牛の命をもらって天に上る方法ををとっています。
九州地方に伝わっている昔話ならではの方言をしっかり使い、
昔話の絵はこの人!・・・の太田大八さんの素晴らしい絵。
子どものみならず、大人でも十分たのしめる内容になっています。